Harada Kazumasa Photo Exhibition
《The Meeting of Two Eyes》
浮かび上がってくる質感
じっと目を凝らすと、
黒の中に、いくつもの黒があることに気づく。
見えているものの奥には、まだ見えていないものが、静かに眠っている。
暗がりに残された風景。遠い記憶の断片。
いつどこで見たかもわからない景色が、ふと身体の奥から立ち上がってくる感覚がある。
白石ちえこ氏の写真には、輪郭の定まらない記憶や、時間の底に沈んでいるものを、そっとすくい上げるような眼差しがあります。本展では、2015年の写真集『島影』、2020年の『鹿渡り』より作品を展示いたします。
現在ではほとんど用いられなくなった「雑巾がけ」と呼ばれる古典技法。印画紙に油や油絵具を擦り込むことで、像のなかに独特の質感と深い陰影が生まれます。
黒はひとつの色ではなくなり、沈んでいたものが、かすかに姿を現します。
黒の奥に、わずかな光を探すように。
いくつもの黒の、その奥に浮かび上がるものを、静かに見つめる時間となれば幸いです。
会期:
2026年10月30日(金)-11月30日(月)
火、水曜日休廊
営業時間:12:00-18:00
作家在廊日:11月21日(土)-23日(月)